アポが取れない、商談が決まらない理由

多くの経営者の方々から、コロナ禍での自粛を理由に、お客様とのアポイントが取り辛くなっているという声をお聞きします。
こういうお悩みに対し、私は、どうすればアポが取れるかという方法(How)よりも顧客が面談を自粛するより話を聞くことを優先する商談内容(What)を先に練る必要があるとお話しさせて頂きます。
何故ならば、ご自身が面識の無い新規顧客側の立場になって考えれば、自社あるいは自身にメリットがありそうな話の中身(What)がなければ、どんな方法(How)でアプローチしても商談には応じない、仮に初回の商談が出来ても成約には結びつかないのはお分かり頂けるのではないでしょうか。
しかしながら、皆さん納得しないと面倒臭いと思われることはやっていただけないですよね。
そこで今回、少々、理屈っぽくて恐縮ですが、貴社のターゲット顧客に既存納入業者(競合他社)がいる前提で、貴社および競合他社の強みと顧客ニーズの模式図を用いて、新規顧客とのアポイントを成功させるために必要なことを確認し、まずは、提案の中身(What)を練ることがアポ取りの成功要因であることをお分かり頂ければと存じます。
○ 強みとニーズの模式図
まずは、以下の“アポが取れる新規商談成功のネタの領域”の図をご覧ください。
この図は、貴社が商談をしたい顧客ニーズ、その顧客にすでに参入している既存参入業者(競合他社)の強み、貴社の強みとその共通する部分を模式的に表したものです。

それでは、それぞれの円が重なる部分がどのような意味合いを持つか考えてみましょう。
○ 領域Ⅰの説明
3つの円が重なる部分は、可視化された要素と言えます。具体的には、顧客が業者に発注する際に記載された内容、仕様書・見積書と言い換えても良いでしょう。
製造業では、Q(品質)、C(価格)、D(納期)です。
多くの場合、競合他社(既存納入業者)が存在するので、既存納入業者に不満がない限り新規商談につながる可能性は非常に低いことに加え、それでも商談に結びつけたいとすると、既存納入業者より価格を下げるか、あるいは価格は同じであっても品質、短納期などのメリットを提示する必要があり、美味しい商談(高付加価値販売)にはつながりにくい領域です。
よって、この領域Ⅰを低付加価値領域と名付けておきます。
○ 領域Ⅱの説明
顧客ニーズと競合他社(既存納入業者)の強みが重なる部分は、部外者には見えていないが、競合他社が対応している要素です。
これを貴社が調べようとしても困難であることは容易に想像できますし、その内容が判明し、貴社が対応したとしても、先行している競合他社(既存納入業者)に追いつくのは大変なわりに、これが新規商談のネタに効率的であるとは考えにくいのではないでしょうか。
よって、この領域Ⅱを非勝負領域と名付けておきます。
○ 領域Ⅲの説明
自社の強みと競合他社の強みが重なる部分は、業界として一般的なものであるとともに、顧客ニーズを満たすものではないため、ここでは掘り下げる必要はないかと思います。
便宜上、この領域Ⅲを共通領域と名付けておきます。
○ 領域Ⅳの説明
競合他社にはなく、顧客ニーズと自社の強みが重なる部分は、言うまでもなく、貴社の差別化された強みで、このアピールが出来れば面識のない新規顧客との商談につながる可能性が高まります。
そこで、この領域Ⅳを面識のない新規顧客とのアポが取れる、実りのある商談ができる成功要因として、商談K F S(Key Factor for Success:重要成功要因)と名付けます。
ここで、多くの皆さんは、「初めからⅣの要素がわかっていれば苦労しないよ」と思われたと思います。
しかしながら、先にも述べましたが、需要が縮小している中、皆さんが顧客の立場になって考えれば、既存納入業者が存在する中、領域Ⅰ〜Ⅲの要素では、新規業者の話を聞こうと思わないことは納得いただけるのではないでしょうか。
つまり、困難であっても、商談K F Sを見つけることが新規顧客とのアポイント成功率を高める鍵になります。
○ 領域Ⅳ(商談K F S)ネタを見つけるにはどうすれば良いのか
そのためには、
1.貴社の強みを棚卸し、出来るだけ多くのネタを引っ張り出すこと
2.ターゲット顧客のニーズの仮設を立てること
3.貴社の強みを活かし顧客ニーズを満たす提案骨子を作ること
が必要になります。
なお、これに関しては、以下のリンクより、別ブログ記事をご参照ください。
・特徴を打ち出しにくい部品製造業が自社のアピール力を高める方法(前半)
・特徴を打ち出しにくい部品製造業が自社のアピール力を高める方法(後半)
○ さいごに
さいごに今までお話しした内容を図にまとめます。
下図から、細かいことはともかく、面識の無い新規顧客とのアポ取りのためには、どの領域の話が必要であるかのイメージが伝わればと願っております。
この機会に、まずは貴社の強みを棚卸しして、新規顧客との商談につながるネタを掘り出してみませんか。
なお、本件に関しまして、ご不明点などございましたら、こちらよりお問い合わせください。
